探偵に依頼をしたら、弁護士などと同じように契約書を交わすことが義務付けられています。
契約書があるのだからと安心できる反面、契約書の内容をしっかり確認しておかないと、場合によっては不利な契約をさせられてしまう可能性もあります。
探偵と契約書を交わす際のポイントを見ていきます。
探偵選びの上で契約書のチェックが大切
以前は、探偵会社によって契約書を結ぶことなく、口頭のみの依頼で仕事を受けるケースも多かったようです。
探偵の仕事は秘匿性が高いため、あえて契約書を結ばないことで秘匿性を高めることを期待したのでしょう。
しかし、2007年の探偵業法が施行されてからは、探偵は契約時に契約書を発行することが義務付けられました。
そのため現在では、契約書を発行しない契約の場合は、その契約自体が無効になってしまうため注意が必要です。
探偵と結ぶ必要がある契約書の種類
探偵との契約を結ぶ際に、必要な契約書は幾つかあります。
ここでは必要な書類の種類を確認していきましょう。
① 誓約書
誓約書では、依頼者自身が調査結果を利用して、違法行為や犯罪に手を出さないことを確認します。
違法行為とは、ストーカーやDVなどが該当します。
② 契約前書面(重要事項説明書)
この契約前書面では、法律に則(のっと)った大まかな契約事項を確認いたします。
③ 契約後書面
この契約後書面が一般的な契約書となります。
探偵会社との細かい契約内容が記載されているので、確実にチェックするようにしましょう。
◇ 警視庁「探偵業の業務の適正化に関する法律第七条、第八条」(2017年5月、著者調べ)
探偵依頼時の契約書で注意する点
契約書を確認する際に大切なことは、必要事項が抜けていないかということがあげられます。
契約金や調査費用についての記載や、契約解除の方法、プライバシーに関わる書類の処分方法など、契約時に必要とされる内容が書いてあるか確認してください。
内容によっては、記載に漏れがあった場合に契約自体が無効になるケースがあります。
しかし、そういった場合トラブルになり、時間が取られてしまうので不備を見つけた時点で違う探偵会社に依頼する方が良いでしょう。
探偵との契約書は慎重に読みこむこと
契約書の欄で注意してほしいことに、調査費用についてあげられます。
調査費用は契約書に必ず記載があります。
ただし、多くの場合は、調査1時間当たりの費用が書かれています。
そして別途調査にかかる日時と人数についても記載があります。
例えば、調査1時間当たり6,000円で、調査日時が4日間(1日実働4時間)、調査員が2人といったような記載があります。
この場合は、6,000円×4日間×4時間×2人=192,000円となります。
この調査日時については、詳しく確認をすることが重要です。
4日間とだけしか書いてない場合は、1日当たり何時間調査を行なうのかまで、入念に聞いておきましょう。
探偵と契約書を交わした後に返金はできるのか?
調査を依頼したが、途中で気が変わり依頼を取り下げたい場合も出てくると思います。浮気の心配がなくなった場合や、途中で調査に対して罪悪感が出てしまった場合などが想像できます。
結論から申し上げますと、このような私的な理由の場合、依頼料の返金はできません。
契約書を記入し、依頼者が署名、押印をした時点で基本的に契約は成立します。
この時点以降での返金は、自己都合では不可能になります。
探偵会社側にも、手続きや日程調整、人員の配置など準備に費用がかかりますので、急な取下げは受け付けられない事情があります。
キャンセル料の規定がある場合
ただし、一定の条件があれば、返金に応じてもらえる可能性があります。
まず、キャンセル料の規定がある場合です。
契約書の中に返金についての項目も必ずあります。
この中に、キャンセル料を支払えば返金に応じると記載している会社もあります。
例えば、調査開始日以前の申し込みであれば、50%の返金といったようなものです。
このような記載があるかどうかを、契約書の記入の際にしっかりとチェックしておきましょう。
探偵側に明らかな不備がある場合
また探偵側に不備がある場合も、返金できる可能性があります。
契約内容と明らかに費用が違っていたり、調査をしっかりと行なっていないなど、契約内容と違う費用や調査方法であれば、依頼料の返金を請求することができます。
ただし、例えば金額が増える可能性があると事前に説明を受けていれば、調査後に追加の調査料を請求されたとしても、不備にならないケースもあります。
いずれにしろ困ったことがあれば、各市町村の消費者センターに問い合わせをし、相談してみるとよいでしょう。
探偵と契約書の結び方次第でクーリング・オフが適用される
少し特殊なケースですが、探偵との契約もクーリング・オフが効きます。
クーリング・オフは訪問販売やマルチ商法など特定の契約に限定して、一定の期間内であれば契約を破棄することができるという制度です。
基本的に、探偵に調査を依頼、契約するとなった場合、探偵事務所や自宅に呼んで契約を行なえば、この契約はクーリング・オフの対象外です。
ただ探偵事務所や自宅以外の場所、例えば喫茶店やレストランなどで契約を行なった場合は、特定商取引法における訪問販売による契約とみなされ、クーリング・オフの対象となるわけです。
またクーリング・オフの適用期間は、契約書を交わしてから8日間となります。
もしも契約を見つめなおすのであれば、この期間に行なうようにしましょう。
契約の状況 | 返金の可否 | 備考 |
---|---|---|
契約書記入後 | × | |
探偵会社に不備がある場合 | △ | 被害の状況により変わる |
クーリング・オフ期間 | 〇 | 契約から8日間の間 |
まとめ
探偵との契約は「探偵業法」ができて以来、法整備がされています。
損をしない契約を結べるように、契約書をしっかり確認しましょう。